BIMとは?導入でできる4つのことや導入ステップをわかりやすく解説

2026.6.29 建設・施工DX

BIMは、設計・施工・維持管理まで建物情報を一元管理できる技術として、建設業界で急速に普及が進んでいます。一方で、「CADとの違いが分からない」「導入すると具体的に何ができるのか知りたい」と感じている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、BIMの基本的な仕組みや3D CAD・CIMとの違いを整理した上で、導入によって実現できること、代表的なソフトウェア、導入を成功させるためのステップまでわかりやすく解説します。

BIMとは何か?初心者向けにわかりやすく解説

BIM(Building Information Modeling)とは、「Building(建物)」「Information(情報)」「Modeling(モデル化)」の頭文字を取った言葉で、日本語では「ビム」と読みます。

単なる3D設計ツールではなく、コンピューター上に作成した建物の3次元モデルへ、材料や仕様、コスト、数量などの属性情報を付与し、設計・施工・維持管理まで一元管理する手法です。

従来の設計では、平面図や立面図、断面図などを個別に作成・修正する必要がありました。しかしBIMでは、3Dモデルを中心に情報が連携しているため、モデルの一部を修正すると関連する図面や数量表なども自動で更新されます。

その結果、修正漏れや整合性のズレを防ぎやすくなり、設計から施工、維持管理まで一貫した情報活用が可能です。例えば、竣工後も設備情報や点検履歴、改修履歴などを管理できるため、施設管理や将来的なリニューアル計画にも役立ちます。

「3D CAD」や「CIM」との違い

BIMは3Dで建物を表現する点では3D CADと似ていますが、本質的な役割は大きく異なります。最大の違いは、BIMが建物の形状だけでなく、部材の材質や価格、数量、仕様などの属性情報まで管理できる「建物のデータベース」として機能する点です。

つまり、BIMは3Dモデルを作成すること自体が目的ではなく、建物に関する情報をライフサイクル全体で活用するための情報モデルといえます。例えば壁の厚みを変更すると、関連する図面や数量表も自動で更新されるため、修正作業の負担やミスを減らせます。

一方、一般的な3D CADは形状表現が中心であり、図面間の連携や属性情報の活用には限界があります。

また、CIM(Construction Information Modeling/Management)は、BIMの考え方を道路や橋梁など土木インフラ分野へ展開したものです。つまり、BIMと3D CAD・CIMは似た言葉に見えても、情報管理能力や適用対象が異なる技術として理解することが重要です。

昨今においてBIMが重要視される理由とは

近年、BIMが注目を集めている背景には、建設業界全体で生産性向上が求められていることに加え、国土交通省によるBIM/CIM活用の推進があります。令和5年度からは、小規模案件を除く直轄業務・工事でBIM/CIMの原則適用が本格化し、公共工事でも3次元モデルの活用が前提となりつつあります。

さらに、国土交通省が公表した令和7年1月時点の実態調査では、建築分野におけるBIM導入率は58.7%となり、令和4年度の48.4%から10ポイント以上増加しました。このように、国による普及推進や導入率の上昇を背景として、BIMは設計・施工・維持管理における情報共有や生産性向上を支える重要な基盤として位置付けられています。

出典:
「建築分野におけるBIMの活用・普及状況の実態調査<概要>」(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/content/001876975.pdf)「令和5年度BIM/CIM原則適用について」(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/tec/content/001510002.pdf

BIM導入でできる4つのこと

BIMは建物を3次元で可視化するだけでなく、属性情報を活用することで設計から施工、維持管理まで幅広い業務の効率化に役立ちます。

ここでは、BIMを導入することで実現できる代表的な4つの活用例を紹介します。

BIM導入でできること1:設計段階での干渉チェックで手戻りを防止する

BIMの大きなメリットは、施工前に設計上の問題点や部材同士の干渉を発見し、手戻りを防止できることです。3Dモデル上で建築・構造・設備の情報を重ね合わせて確認できるため、図面だけでは気付きにくい不具合も可視化できます。

例えば、梁の位置と空調ダクト、配管ルートが重なっている場合でも、施工前の段階で干渉箇所を把握し、設計変更をおこなうことが可能です。現場で問題が発覚すると工事の中断や再施工が必要になりますが、BIMを活用すればそのリスクを大幅に軽減できます。

結果として、追加コストや工期遅延を抑えながら、プロジェクト全体の生産性向上につながります。

BIM導入でできること2:施主や協力会社とのスムーズな合意形成

BIMは3Dモデルを用いて建物を可視化できるため、施主や協力会社とのコミュニケーションを円滑に進められます。専門的な図面だけでは伝わりにくい内容も、立体的なモデルを共有することで完成イメージを直感的に理解してもらえるためです。

例えば、打ち合わせの段階で内装や設備の配置を確認すれば、施主からの要望を早期に反映できます。また、施工会社や職人とも施工手順や納まりを事前に共有しやすくなり、認識の違いによるトラブル防止にも役立ちます。

情報共有の精度が高まることで、打ち合わせ時間の短縮や意思決定の迅速化、顧客満足度の向上が期待できます。

BIM導入でできること3:事前シミュレーションで環境性能や安全性を検証

BIMでは、モデルに登録された属性情報を活用して各種解析ソフトと連携できるため、設計段階からさまざまなシミュレーションを実施できます。完成後では修正が難しい性能面を事前に検証できることが大きな特徴です。

具体的には、日照や採光の解析、空調負荷の検証、風環境のシミュレーション、構造解析などが挙げられます。例えば日照シミュレーションを実施すれば、建物配置や窓の位置を最適化し、快適性や省エネルギー性の向上を図ることが可能です。

このように、BIMは性能検証を設計初期に実施できるため、品質向上や環境性能の最適化を図りながら、より合理的な設計判断を支援します。

BIM導入でできること4:コストや人件費の削減

BIMは設計品質の向上だけでなく、建設プロジェクト全体のコスト削減にも貢献します。3Dモデルから部材数量を自動集計できるため、数量拾いの精度が向上し、発注ミスや材料ロスを抑えやすくなるためです。

さらに、正確な設計情報を基にプレハブ化や工場製作を進めやすくなり、現場作業の効率化にもつながります。

例えば、事前に加工した部材を現場へ搬入することで施工時間を短縮し、人件費や工期の削減が期待できます。

このようにBIMは設計業務だけでなく、調達や施工まで含めたサプライチェーン全体の最適化を支える技術として活用されています。

BIM実践のための代表的なソフト3選

BIMソフトは数多く存在しますが、業務内容や企業規模によって適した製品は異なります。

共同作業のしやすさや日本の法規対応、操作性などに違いがあるため、自社の目的に合わせて選定することが重要です。

ソフト名 特徴 向いているケース
Revit 設計・構造・設備を統合管理しやすく、大規模案件に強い ゼネコン・大規模プロジェクト
Archicad 意匠設計に強く、Mac環境にも対応 建築設計事務所・中小規模案件
GLOOBE 日本法規や確認申請業務との親和性が高い 国内案件を中心とする企業

それぞれ特徴が異なるため、価格だけで判断せず、自社が解決したい課題や将来の運用体制まで見据えて選ぶことが導入成功のポイントです。

BIM導入は4ステップで進めよう

BIMを効果的に活用するには、ソフトを導入するだけでは十分ではありません。導入目的の明確化や運用体制の整備、社内教育を段階的に進めることで、現場への定着や導入効果の最大化につながります。

ここでは、BIM導入をスムーズに進めるための基本的な4つのステップを解説します。

ステップ1:導入目的の明確化と計画策定

BIM導入では、最初に「何を改善したいのか」を明確にすることが欠かせません。目的が曖昧なままソフトを導入すると、十分な効果を得られず、現場にも定着しにくくなるためです。

例えば、「設計変更による手戻りを減らしたい」「コンペ提案力を高めたい」「数量拾いを効率化したい」といった具体的な目標を設定すると、導入効果を評価しやすくなります。

また、ソフトウェア費用だけでなく、高性能PCや教育コストも含めた予算計画を立てることが重要です。明確な目的と計画があれば、投資対効果を高めながらスムーズな導入を進められます。

ステップ2:適切なソフトウェアとハードウェア(PC)の選定

BIMは3Dモデルや大量の情報を扱うため、業務内容に合ったソフトだけでなく、高性能なPC環境も必要になります。性能不足の環境では動作が重くなり、かえって業務効率が低下する恐れがあります。

一般的には、高性能CPUや十分なメモリ容量、専用グラフィックボードを搭載したPCが推奨されます。ただし、必要なスペックは利用するBIMソフトやプロジェクト規模によって異なるため、事前に各ソフトの推奨環境を確認することが重要です。

また、設計業務中心なのか、設備設計や施工管理までおこなうのかによって最適なソフトも異なります。快適な作業環境を整えることで、利用者のストレスを軽減し、BIMの定着や生産性向上につなげられるでしょう。

ステップ3:社内教育と小規模運用での検証

BIMは導入しただけで成果が出るものではなく、現場で使いこなせる体制づくりが重要です。そのため、まずは小規模案件で試験運用(PoC)を実施し、実際の運用課題や改善点を洗い出す方法が適しています。

例えば、一部の設計チームや限定したプロジェクトで運用し、操作性やワークフローを検証します。必要に応じて外部研修やベンダーのサポートを活用しながら、担当者のスキル向上を図ることも有効です。

成功体験を重ねてノウハウを蓄積することで、全社展開時の混乱を抑え、導入失敗のリスクを低減できます。

ステップ4:社内ガイドラインの構築と本格運用の拡大

試験運用で得た知見を基に、BIMの運用ルールを標準化することが本格導入への重要なステップです。ルールが統一されていないと、担当者ごとにモデルの作り方や情報管理方法が異なり、データ活用の効果が十分に発揮されません。

例えば、モデリング方法や命名規則、更新手順、承認フローなどをガイドラインとして整備し、全社で共有します。また、他部署への教育体制を構築しながら段階的に運用範囲を広げることで、組織全体で一貫したBIM活用が可能になります。

こうした積み重ねによって、BIMは企業の重要な情報資産として定着していきます。

まとめ:BIMの活用で失敗しない建設DXの基盤を整えよう

  • BIMは3Dモデルと属性情報を一元管理し、設計・施工・維持管理まで活用できる仕組み
  • 干渉チェックや情報共有、シミュレーション、数量算出などを通じて、手戻り防止やコスト削減、生産性向上に役立つ
  • 導入時は目的を明確にしたうえで、小規模運用とルール整備を経て段階的に全社展開することが重要

BIMは単なる3D設計ツールではなく、建設DXを推進するための情報基盤です。効果を最大限に引き出すには、ソフトを導入するだけでなく、運用体制や教育環境まで含めて整備する必要があります。

まずは、自社の設計・施工業務で発生している「修正による手戻り」や「関係者間の認識のズレ」を一つ洗い出し、BIMによって改善できる余地があるかを確認することから始めてみましょう。

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株式会社アラヤ

先端AIとニューロテックを基盤とするディープテックベンチャーです。ムーンショット型研究開発への参画をはじめ、企業・大学との共同研究実績を多数有し、現役研究者とエンジニアが一体となった研究支援を提供しています。大学・研究機関における持続可能な研究体制の構築と研究力強化に貢献してまいります。
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AIアルゴリズム開発(ディープラーニング・エッジAI・自律AI)、建設DXソリューション、研究現場の業務効率化支援(Research DX)など、基礎研究から社会実装まで一貫して手がけています。