デジタルツインとBIMの違いとは?関係性や活用シーン、導入ステップを解説

2026.7.31 建設・施工DX

建設業界では、BIM/CIM活用の推進やDX化を背景に、BIMとデジタルツインへの注目が高まっています。一方、「両者にはどのような違いがあるのか」「どのように使い分けるのか」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

BIMは建物情報を3次元モデルで管理する基盤であり、デジタルツインは現実世界のデータを連携して継続的に活用する仕組みです。

本記事では、デジタルツインとBIMの違いや関係性、建設業における活用シーン、導入ステップを解説します。

デジタルツインとBIMの違いとは?

デジタルツインとBIMは、どちらも建設業界における3次元データ活用を支える技術ですが、用途や用いるデータなどが異なります。簡単に整理すると、次のとおりです。

項目 BIM デジタルツイン
主な用途 設計・施工 運用・維持管理
データ 建物情報 センサーや点検で取得した現況データ
更新 必要時 設定した頻度で継続的に更新
活用範囲 企画・設計から施工、維持管理・運用まで 施工計画から施工、維持管理・運用まで

両者は競合する技術ではなく、BIMを土台としてデジタルツインを構築するケースが多いです。

まずは、それぞれの特徴を解説します。

BIMとは建物情報を3Dモデルで管理する仕組み

BIMは、建物の3次元の形状情報に加え、部屋の名称や面積、材料・部材の仕様・性能、設備情報などの属性情報を一体的に管理する仕組みです。

設計や施工だけでなく、企画・計画から維持管理・運用まで、建築物のライフサイクルを通じて情報を蓄積・連携・活用できます。また、建物の情報を3次元で可視化できるため、関係者間の情報共有や意思疎通を円滑にしやすい点も特徴です。

BIMは単なる3Dモデル作成ツールではなく、建築物に関する情報を蓄積するデータベースや、プロジェクト関係者間のコミュニケーションを支える情報基盤として活用されます。

デジタルツインとは現実空間をデジタル上に再現する仕組み

デジタルツインとは、現実空間をデジタル空間に再現し、施工計画や現場作業の効率化に活用する仕組みです。

建設分野では、BIM/CIMによる4Dモデルを用いて施工ステップをデジタル空間で再現したり、AR・VRを活用して施工イメージを関係者間で共有したりすることで、手戻りやミスの防止につなげる取り組みが進められています。

デジタルツインは単なる3Dモデルではなく、施工計画や維持管理の高度化を実現する技術といえます。

BIMはデジタルツインの土台になる

BIMとデジタルツインは補完関係にあり、BIMはデジタルツインを実現するための土台になります。

例えば、BIMが持つ建物の形状情報や属性情報に、デジタルツインによるIoTセンサーや点群データ、点検履歴などを連携することで、設備の状態や施工の進捗を適切なタイミングで把握できるようになります。

それぞれの役割は次のとおりです。

  • BIM:設計・施工段階の情報を管理する
  • デジタルツイン:施工・運用・維持管理まで継続的にデータを活用する

将来的にデジタルツインを活用したい場合、まずはBIMデータを整備することが重要です。

デジタルツインとBIMが建設業で注目される背景

デジタルツインとBIMが注目されている背景には、国土交通省によるBIM/CIM活用の推進や、インフラの維持管理を高度化するニーズの高まりがあります。

ここでは、建設業界で両者の活用が広がっている背景を解説します。

背景その1:BIM/CIM原則適用により3次元データ活用が広がっている

近年、国土交通省によるBIM/CIMの原則適用が進み、建設業界では3次元データを活用する取り組みが広がっています。

公共工事では、活用目的に応じた3次元モデルの作成・活用が進められており、設計や施工における情報の可視化やデータ連携が推進されています。こうした3次元データの蓄積と活用は、デジタルツインによる施工計画のシミュレーションや現場作業の効率化を実現するための基盤にもなります。

デジタルツインは、建設DXやBIM/CIM活用の延長線上にある技術として捉えると理解しやすいでしょう。

参考:
「令和5年度BIM/CIM原則適用について」(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/tec/content/001510002.pdf
「i-Construction 2.0~建設現場のオートメーション化~ 」(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/tec/constplan/content/001738240.pdf

背景その2:維持管理や予防保全への活用ニーズが高まっている

インフラの老朽化や技術者不足を背景に、維持管理業務の効率化が大きな課題となっています。

従来の点検業務は人手や経験に依存しており、異常の早期発見が難しいケースも少なくありません。デジタルツインを活用すれば、センサーデータや点検履歴をデジタル上で管理し、設備の状態を可視化できます。

異常の予兆を把握しやすくなるため、「壊れてから直す」管理から、「壊れる前に対応する」予防保全への移行が期待されています。

デジタルツインとBIMの主な活用シーン

デジタルツインとBIMは、設計・施工から維持管理まで幅広い業務で活用できます。

ここでは、建設業における代表的な活用シーンを紹介します。

デジタルツインとBIMの活用シーン1:設計・施工計画のシミュレーション

設計・施工計画では、BIMモデルを基盤として、施工手順や重機の配置などをデジタル空間上でシミュレーションできます。設備配管や構造物の位置関係を3次元で確認するだけでなく、工程や施工条件を反映することで、施工時に生じる問題を事前に把握可能です。

例えば、設備ダクトと梁の干渉を確認するとともに、重機の配置や資材搬入の動線を検証することで、現場での手戻りや作業の停滞を防げます。

設計情報と施工計画をデジタル空間上で統合して検証することで、施工品質の向上や工期短縮につながります。

デジタルツインとBIMの活用シーン2:施工管理での進捗・出来形確認

施工管理では、施工計画と現況データを比較しながら進捗確認をおこなえます。点群データや現場写真をBIMモデルに重ねることで、計画との差異を把握しやすくなるためです。

例えば、ドローンで取得した点群データを活用すれば、遠隔からでも施工状況を確認できます。

現場への移動回数を削減しながら、出来形確認や進捗管理の効率化を図れる点は大きなメリットです。

デジタルツインとBIMの活用シーン3:維持管理での点検・予防保全

点検履歴やセンサーデータをBIMモデルと紐づけることで、設備やインフラの状態を継続的に把握できます。

例えば、橋梁やトンネルの変位データを蓄積し、異常の兆候を早期に検知することも可能です。さらに、蓄積したデータを統合・分析することで、設備の劣化や異常を予測し、維持管理プロセスの改善につなげられます。

経験や勘に頼った点検からデータに基づく管理へ移行できるため、設備の長寿命化や保全コストの最適化も期待できます。

デジタルツインとBIM活用を進めるステップ

デジタルツインとBIMを効果的に活用するには、目的を明確にし、段階的に導入を進めることが重要です。

ここでは、導入を進める際の基本的なステップを解説します。

ステップ1:目的を決める

まずは、「何を改善したいのか」を明確にすることが重要です。施工管理を効率化したいのか、維持管理を高度化したいのかによって、必要となるデータやシステムは大きく異なります。

例えば、次のように目的を整理すると導入方針を決めやすくなります。

  • 施工管理を効率化したい
  • 維持管理の負担を削減したい
  • 点検業務を高度化したい
  • BIMデータを有効活用したい

目的が曖昧なまま導入を進めると、十分な効果を得られない可能性があります。自社の課題を整理し、どの業務を改善したいのかを明確にすることから始めましょう。

ステップ2:既存データを整理する

次に、現在保有しているデータを整理します。

図面やBIMモデル、点群データ、設備情報などを確認し、どのデータを活用できるかを把握することが重要です。新たに取得する必要があるデータも明確になるため、導入コストの見積もりにも役立ちます。

また、既存のデータを活用できるケースも多いため、まずはデータの棚卸しをおこなうことも有効です。

ステップ3:小さく試して効果を確認する

デジタルツインやBIMの活用は、小規模なPoCから始めることが有効です。最初から全社導入を目指すのではなく、1現場や1設備など対象を限定して検証することで、導入リスクを抑えられます。

例えば、橋梁の点検業務だけにデジタルツインを適用し、効果を確認してから対象範囲を広げる方法が考えられます。

スモールスタートを意識することが、デジタルツイン・BIM導入を成功させるポイントです。

ステップ4:運用しながら継続的に改善する

デジタルツインとBIMは、導入しただけで終わりではありません。

現場状況や設計変更、点検結果などに応じてデータを更新し続ける必要があります。更新担当者や更新ルールを決めておかなければ、現実の状態とモデルが乖離してしまうためです。

小さく始めた取り組みの効果を検証し、施工管理や維持管理など他業務へ展開していくことが重要です。

継続的に改善できる体制を整えることが、長期的な活用につながります。

まとめ:デジタルツインとBIMを理解し、自社に合った活用を進めよう

  • BIMは建物情報を管理する基盤であり、デジタルツインは現実空間と同期して活用する仕組みである
  • BIMを土台にすることで、施工管理や維持管理までデータ活用の幅を広げられる
  • 小規模なPoCから始め、継続的に改善しながら導入を進めることが重要である

BIMとデジタルツインは役割が異なるものの、組み合わせることで設計・施工から維持管理まで一貫したデータ活用が可能になります。導入時は、最初から大規模に展開するのではなく、自社の課題に合う業務から段階的に取り組むことが重要です。

まずは、自社でBIMデータをどこまで活用できているかを整理し、デジタルツイン化が必要な業務を洗い出してみましょう。

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株式会社アラヤ

先端AIとニューロテックを基盤とするディープテックベンチャーです。ムーンショット型研究開発への参画をはじめ、企業・大学との共同研究実績を多数有し、現役研究者とエンジニアが一体となった研究支援を提供しています。大学・研究機関における持続可能な研究体制の構築と研究力強化に貢献してまいります。
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AIアルゴリズム開発(ディープラーニング・エッジAI・自律AI)、建設DXソリューション、研究現場の業務効率化支援(Research DX)など、基礎研究から社会実装まで一貫して手がけています。