BIM・CIM設計とは?違いと導入メリット、実務での活用例を解説
2026.3.31 建設・施工DX
国土交通省によるBIM/CIM原則適用の開始を背景に、建設業の設計業務でも3次元データ活用が前提となりつつあります。
しかし「BIMとCIMの違いが曖昧」「本当に自社に必要なのか判断できない」と感じている設計担当者も多いのではないでしょうか。
本記事では、設計業務におけるBIM・CIMの違いを整理し、導入メリットや活用例を解説します。
設計業務におけるBIM、CIMとは何か

BIMとCIMの対象分野や設計段階での違いを整理します。
国土交通省の取り組みと合わせて解説しますので、「BIMとCIMは何が違うのか」「自社の設計業務はどちらに該当するのか」という視点で読み進めてください。
BIMとCIMの定義を理解しよう
BIM(Building Information Modeling)は建築分野の3次元情報モデル、
CIM(Construction Information Modeling)は土木分野の3次元情報モデルです。
いずれも3次元形状に、部材名・寸法・材質・数量・コスト等の属性情報を紐づけて扱います。
形状中心の3D CADと異なり、数量算出や情報共有まで見据えた「情報モデル」である点が特徴です。
設計段階でのBIMとCIMの違い
設計段階におけるBIMとCIMの違いは以下のとおりです。
- BIM:建築物の詳細設計で、意匠・構造・設備を統合しながら整合を取る
- CIM:地形・構造物の3次元化が軸で、測量データや地形条件との整合性を重視する
設計対象と、前提データ(建物内部情報か、地形・測量情報か)の違いを押さえると判断しやすくなります。
| 比較項目 | BIM | CIM |
|---|---|---|
| 対象分野 | 建築(建物) | 土木(インフラ) |
| 設計内容 | 意匠・構造・設備を統合して詳細化 | 地形・構造物を3次元化し整合を取る |
| 主な活用場面 | 建築設計〜施工調整 | 測量〜設計〜施工連携 |
国土交通省によるBIM/CIM原則適用が令和5年度から開始
国土交通省は令和5年度(2023年度)から、小規模を除く公共工事でBIM/CIMの原則適用を開始しました。
出典:「令和5年度BIM/CIM原則適用について」(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/tec/content/001510002.pdf)
これにより、直轄案件ではBIM/CIM対応を前提とした業務体制の整備が求められる場面が増えています。今後も公共工事におけるデータ活用の流れは継続すると考えられます。
設計部門としては、「対応するかどうか」ではなく、「どの範囲から対応するか」を検討する段階に入っています。早期に方針を整理することが、安定的な受注と競争力維持につながるでしょう。
自社の業務はBIMとCIM、どちらに該当するか?
自社の対応方針を検討するうえでは、まず自社業務の位置づけを整理する必要があります。
判断軸は「何を設計しているか」です。
建築物中心ならBIM、道路・橋梁などインフラ中心ならCIMが基本整理です。
また、両分野を扱う場合は、案件ごとに使い分けるか、受注機会の多い分野から優先的に対応します。
仕様が曖昧な場合は、元請けや発注者に要求水準(提出物・LOD等)を確認し、判断基準を明確にしておくことが重要です。
BIM/CIM設計を導入するメリット

BIM/CIMは単なる形状の3D化ではありません。設計段階で情報を統合することで、業務効率・品質・合意形成に影響します。
ここでは、設計の実務に直結するメリットを整理します。
メリット1:設計業務の効率化とコスト削減
BIM/CIMでは、設計変更時に図面の整合性が自動で維持されます。平面図・立面図・断面図が連動しており、1箇所の修正が全体に反映されます。これにより、図面差し替えや整合確認の手間を削減可能です。
また、数量算出も自動化されるため、部材数量を手計算する必要がなくなり、積算業務の効率が向上します。点群データを活用して現況を詳細に把握することで、仮設計画や土工量の検討など、設計・施工計画の前提条件を具体化しやすくなります。
その結果、現場条件との乖離を抑えた計画立案や、見積りに必要な条件の整理(数量・範囲・制約条件の明確化)に寄与します。
設計段階で課題を把握し、手戻りを防げる
さらに、3D可視化により設計ミスを早期に発見できます。後工程での手戻りを防ぎ、修正コストを抑制します。定型作業時間が削減されることで、本来の設計検討に時間を充てられる点が大きな価値です。
設計段階で集中的に検討する「フロントローディング」を実現できるため、結果として工期短縮やプロジェクト全体の生産性向上につながります。
メリット2:設計品質の向上と安全性確保
業務効率だけでなく、設計品質の向上も大きなメリットです。BIM/CIMの干渉チェック機能により、配管と構造体の干渉などを設計段階で把握でき、施工段階でのトラブルを未然に防ぎやすいです。
また、3Dモデルによって納まりの不整合に気づきやすくなります。過密配筋部のような複雑な箇所も視覚的に確認でき、設計精度の向上につながるでしょう。
さらに、経験が浅い技術者でも3Dモデルを活用することで照査の精度を担保し、属人的な確認に依存しにくくなります。
施工前のシミュレーションにより危険箇所を事前に特定し、安全対策を設計段階で検討できるため、現場の安全性向上にもつながります。
メリット3:関係者間の情報共有と合意がスムーズに
3Dモデルは視覚的に理解しやすく、専門知識の有無にかかわらず設計意図を共有しやすい点が特長です。
そのため、設計内容に対する認識のずれを早期に解消しやすくなります。2D図面に比べ、形状や空間関係を具体的に示せるため、発注者や関係部署との合意形成を円滑に進められるでしょう。
情報をモデル上で一元管理することで、修正・更新内容の反映漏れを防止できます。結果として、問い合わせや手戻りの削減につながり、設計部門の業務負荷軽減にも寄与します。
動画(アニメーション)活用で合意形成はさらに加速する
最近では、3Dモデルに時間軸や動きを加えた「アニメーション動画」による検証も増えています。静止画では判断が難しい「重機の作業半径」や「吊荷の移動経路」を動画でシミュレーションすることで、関係者間の認識のズレをほぼゼロにでき、合意形成をさらに円滑に進められます。
これにより、手戻りの削減だけでなく、設計部門への問い合わせ対応の工数削減にも大きく寄与します。
設計業務におけるアラヤのBIM/CIM活用例
BIM/CIMデータを作成するだけでなく、設計・施工計画に具体的に活用する取り組みとして、アラヤのクレーンシミュレーター事例があります。
ここでは実際の事例をもとに、設計業務と連動した活用内容を整理します。
JFEエンジニアリングでの橋梁架設計画への活用
働き方改革を背景に生産性向上が求められる中、JFEエンジニアリングはICTを活用したDXを推進しています。
橋梁架設の計画検討に時間を要する課題に対し、アラヤのBIM/CIM連携クレーンシミュレーターを導入しました。
橋桁の地切りから架設までの動きをパラメトリックに管理し、吊荷経路や干渉を事前確認することで、計画の効率化と関係者間の認識合わせを支援しています。
弘電社における都市部工事での活用
弘電社の大型受電設備更新工事では、
BIM/CIMデータ等を用いてクレーン作業を3Dで事前検証できるクレーンシミュレーションソフト「ARACOM CRANE」を活用しました。
任意の3Dモデルへクレーンパーツ情報を割り当て、動的モデルとして編集可能とすることで、都度変化する計画にも対応しています。
点群データを用いた干渉チェックや吊荷経路の事前確認により、安全性を確保しつつ作業効率の向上を実現しています。
まとめ:BIM/CIM設計で自社の課題を解決に導こう
- BIMは建築、CIMは土木を対象とする3次元情報モデルを指す
- 図面修正の自動反映、数量算出の自動化、干渉チェックにより、手戻り削減と設計工数の圧縮が可能
- 3Dモデルで設計意図を共有できるため、合意形成が早まり、問い合わせや認識違いを減らせる
BIM/CIMは単なる3D化ではなく、設計情報を統合し、施工・維持管理まで連携させる基盤です。
設計段階で情報を整理することで、後工程の負荷を抑えられます。
まずは自社案件がBIM寄りかCIM寄りかを整理し、発注者要件に基づき導入範囲を決定することが重要です。段階的に取り入れ、設計業務の効率化と施工の品質向上につなげていきましょう。
株式会社アラヤ
先端AIとニューロテックを基盤とするディープテックベンチャーです。ムーンショット型研究開発への参画をはじめ、企業・大学との共同研究実績を多数有し、現役研究者とエンジニアが一体となった研究支援を提供しています。大学・研究機関における持続可能な研究体制の構築と研究力強化に貢献してまいります。
主な事業概要:
AIアルゴリズム開発(ディープラーニング・エッジAI・自律AI)、建設DXソリューション、研究現場の業務効率化支援(Research DX)など、基礎研究から社会実装まで一貫して手がけています。
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