空調の温度センサーとは?4つの種類・設置場所・故障サインと対処法を解説
2026.9.28 設備管理・システム解説
「店舗のエアコンが設定温度にならない」「運転が止まったり動いたりする」といった症状に、どう対応すべきか悩んでいませんか。原因に関係する部品なのか、どこを確認すればよいのか分からず、すぐに業者を呼ぶべきか迷うこともあるでしょう。
空調の不調において、原因の一つとして考えられるのが温度センサーの異常です。
温度センサーは、室内や機器の温度を検知し、冷暖房の運転調整に役立つ部品です。ただし、同じ症状はフィルターの汚れなどでも起こるため、センサーの故障と決めつけずに確認することが大切です。
この記事では、温度センサーの仕組みと代表的な種類、設置場所の確認方法を整理したうえで、故障サインと対処法を解説します。
空調の温度センサーとは温度を検知して運転を調整する部品のこと
空調の温度センサーは、室内や機器の温度を検知し、その情報を制御システムへ伝える部品です。空調機器は受け取った温度情報をもとに、冷暖房の強さなどを調整します。
例えば、室温を検知するセンサーの場合、検知した温度とリモコンの設定温度に応じて運転量が変わります。冷房中に室温が設定温度より高ければ冷やす運転をおこない、設定温度に近づけば冷房の強さを抑える、といった仕組みです。
業務用エアコンの温度検知には、温度によって電気抵抗が変わる「サーミスタ」が広く使われます。室温だけでなく、配管や室外機などにも役割の異なるセンサーがあり、それぞれの温度情報が運転調整や機器の保護に使われています。
温度を正確に検知して必要以上の冷暖房を抑えることは、省エネ運転を支えるうえでも重要です。
代表的な空調の温度センサー

空調には、検知する対象や役割に応じて、さまざまな温度センサーが使われています。代表的なものとして、次の4つのサーミスタがあります。
- 室温サーミスタ:室内の温度を検知し、設定温度に合わせた冷暖房の調整に活用
- 配管サーミスタ:冷媒配管を流れる冷媒の温度を検知するセンサー
- 外気温サーミスタ:屋外の温度を検知し、コンプレッサーの運転制御に活用
- オーバーヒートサーミスタ:室外機のコンプレッサーの過熱を監視し、オーバーヒートを防止
それぞれの役割を解説します。
室温サーミスタ
室温サーミスタは、業務用エアコンの室内機に組み込まれ、室内の温度を検知するセンサーです。検知した室温の情報を制御システムへ送り、リモコンで設定した目標温度に近づくよう、冷暖房の運転を調整するために使われます。
例えば冷房中は、検知した室温が設定温度より高ければ冷やす運転をおこない、設定温度に近づけば冷房の強さを抑えます。このように、室温に応じた運転を支え、室内を快適な温度に保つ役割があります。
なお、室内の快適性には温度だけでなく湿度も影響するため、温度設定だけでは暑さや寒さが解消されない場合があります。
配管サーミスタ
配管サーミスタは、室内機と室外機をつなぐ冷媒配管を流れる冷媒の温度を検知するセンサーです。室内機と室外機の両方に設置され、冷媒配管の温度を検知し、冷媒回路の状態把握や運転制御に使われます。
室温サーミスタが室内の空気の温度を測るのに対し、配管サーミスタは配管側の温度を確認する点が特徴です。室内の暑さや寒さを直接測るものではなく、配管を流れるガスの温度を通じて、空調機器の運転状態を把握する役割を担っています。
外気温サーミスタ
外気温サーミスタは、室外機に設置され、屋外の温度を測定するセンサーです。室温サーミスタと連携し、外気の温度情報をもとにコンプレッサーの運転を制御するために使われます。
空調の運転を調整するには、室内の温度だけでなく、屋外の温度条件も把握する必要があります。
外気温サーミスタは、室内だけでは分からない屋外の温度情報を制御システムへ伝え、室温と外気温の両方を踏まえた冷暖房の運転を支える役割があります。
オーバーヒートサーミスタ
オーバーヒートサーミスタは、室外機に設置され、コンプレッサーの過熱を監視するセンサーです。コンプレッサーが過度に熱くなった場合、その温度上昇を検知し、制御システムを通じて緊急停止させることで、オーバーヒートを防ぎます。
通常の温度変化を測って室温を調整するというより、異常な高温から機器を守るためのセンサーです。室温や外気温を測るサーミスタとは役割が異なり、コンプレッサーの過熱防止を担っています。
空調における温度センサーの設置場所

温度センサーの設置場所は、メーカーや機種によって異なります。まずは取扱説明書を確認し、手元にない場合は本体に記載された型番から、メーカー公式サイトで説明書や仕様書を探しましょう。
本体を確認するときは、吸い込み口やパネル周辺など、安全に見える範囲にとどめてください。資料に位置が載っていない場合や、内部に隠れていて見つからない場合は、無理に分解せず専門業者へ相談しましょう。
ここからは、代表的な室内機の型として、天井カセット型・壁掛け型・床置き型・ダクト型を取り上げ、それぞれの室温センサーの主な設置場所を解説します。
天井カセット型:吸い込み口付近に設置されていることが多い
天井カセット型は、室内機を天井に埋め込むタイプの空調です。温度センサーは、室内の空気を取り込む吸い込み口付近に設置されていることが多く、取り込んだ空気の温度を検知します。
空調機器は、その温度とリモコンの設定温度との差に応じて、冷暖房の強さを調整します。
具体的な取り付け位置は機種によって異なるため、取扱説明書などで確認しましょう。高所での点検や清掃が難しい場合は、無理に作業せず専門業者へ依頼してください。
壁掛け型:本体の側面や下部に設置されていることが多い
壁掛け型は、壁面に室内機を取り付けるタイプの空調で、小規模な事務所や個室などで使われています。温度センサーは、本体の側面や下部に設置されていることが多く、具体的な位置は機種によって異なります。
周囲に家具や棚などがあると、空気の流れが遮られ、センサー付近の温度と室内の温度に差が生じる場合があります。室温に応じた運転を妨げないよう、本体周辺の空気の流れを確保することが大切です。
床置き型:吹き出し口付近や吸気口周辺に設置されていることが多い
床置き型は、壁際や窓の下などに室内機を設置するタイプの空調です。温度センサーの設置位置には、吹き出し口の近くや吸気口周辺などがあり、機種によって異なります。
センサーが床に近い位置にある場合、足元の冷たい空気の影響を受け、暖房が強くなりすぎることがあります。ただし、実際の動作は機種や設定によって変わります。
また、センサーには床のほこりや汚れが付着しやすいため、取扱説明書に従い、清掃できる範囲を定期的にお手入れすることが大切です。
ダクト型:ダクト内部に設置されていることが多い
ダクト型は、天井裏などに設けたダクトを通して、各部屋へ冷暖房の空気を送るタイプの空調です。ダクト内部に温度センサーを設置する構成があり、検知した空気の温度は、風量や温度の調整に使われます。
センサーの位置は、機器の構成やダクトの設計によって異なります。点検時には天井の点検口などから作業する場合があるため、室内から見えるとは限りません。設置位置が分からない場合は、天井材やダクトを外して探さず、専門業者に確認を依頼しましょう。
空調における温度センサーの故障サイン

ここでは、空調の温度センサーに異常がある場合に見られる、代表的な故障サインを解説します。
設定温度にならない
温度センサーが故障すると、室温を正しく検知できず、設定温度にならないことがあります。誤った温度情報をもとに運転が調整されるため、室内の状況に合った冷暖房がおこなわれなくなるためです。
室内機と室外機が動いているにもかかわらず、十分に冷えない・暖まらない状態が続く場合は、温度センサーの異常が原因の一つとして考えられます。
なお、同じ症状はセンサー以外の原因でも起こるため、原因を決めつけず、後述する対処法に沿って確認しましょう。
空調の動作が安定しない
外気温サーミスタが故障すると、室外機のファンが正常に動かず、停止と起動を繰り返すなど、動作が不安定になることがあります。
一方、ファンに異物が挟まっている場合にも、動作不良が起こる可能性があります。
温度センサーだけを原因と決めつけず、室内機と室外機のどちらで、どのような動作が起きているかを把握することが大切です。
確認は外から見える範囲にとどめ、ファンの内部に手や棒を入れないでください。停止中でも突然回り始めてけがをしたり、差し込んだ棒などでファンを破損させたりするおそれがあります。
空調の温度センサーが故障した場合の対処法

ここでは、空調の温度センサーの故障が疑われる場合の対処法を解説します。
清掃前は運転を停止し、取扱説明書に従って電源を切ってください。高所での作業など、安全にお手入れできない場合は専門業者へ依頼しましょう。
フィルターを掃除する
フィルターにほこりがたまっている場合は、取扱説明書で取り外し方と清掃方法を確認し、外側の吸い込み面から掃除機で軽く吸い取ります。
汚れが残る場合は、水洗いできるフィルターであることを確認してから洗いましょう。洗った後は、完全に乾かしてから元に戻してください。
フィルターの内側にセンサーがある機種では、先にフィルターを清掃してから、見える範囲でセンサー周辺の汚れを確認します。
センサー周辺を掃除する
室温サーミスタの周辺にほこりや汚れがたまると、室温を正しく検知しにくくなることがあります。取扱説明書で清掃が認められている範囲に限り、センサー周辺のほこりや汚れを取り除きましょう。
センサーが天井材や内装の裏に隠れている場合は、無理に分解して探さず、専門業者へ相談してください。また、清掃は汚れによる影響を改善するためのもので、故障したセンサー自体を直す作業ではありません。
専門業者に連絡する
フィルターやセンサー周辺を清掃しても正常に動かない場合は、ほかの温度センサーや別の部品に不具合がある可能性があります。自己判断で部品を交換せず、専門業者へ点検を依頼しましょう。
業務用エアコンは構造が複雑で、知識や技術がないままサーミスタを交換すると、別のトラブルを招くおそれがあります。故障箇所の特定や、必要に応じた部品交換は専門業者に任せてください。
なお、焦げ臭いにおいなどの異常がある場合は、清掃による改善を待たずに使用を中止し、点検を依頼してください。
まとめ|空調の温度センサーの種類・位置を確認し、異常時は適切に対処しよう
- 温度センサーは、室内や機器の温度を検知し冷暖房の運転調整や過熱防止に活用
- 代表的なセンサーには、室温・配管・外気温・オーバーヒートサーミスタがあり、設置位置は機種によって異なる
- 設定温度にならない場合や運転が不安定な場合は清掃できる範囲を手入れし、改善しなければ専門業者へ相談
温度センサーの役割や設置場所を知っておくと、空調の不調時に確認すべき点を整理できます。ただし、症状だけでセンサーの故障とは判断できません。無理な分解や自己判断での部品交換は避け、必要に応じて専門業者へ点検を依頼しましょう。
まずは、使用中の空調機器の取扱説明書を開き、温度センサーに関する説明とお手入れできる範囲を確認してみてください。手元に説明書がない場合は、本体の型番を控えることから始めましょう。
株式会社アラヤ
先端AIとニューロテックを基盤とするディープテックベンチャーです。ムーンショット型研究開発への参画をはじめ、企業・大学との共同研究実績を多数有し、現役研究者とエンジニアが一体となった研究支援を提供しています。大学・研究機関における持続可能な研究体制の構築と研究力強化に貢献してまいります。
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