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節電による環境への影響とは?企業が押さえるべき4つの視点

設備運用の見直しや環境配慮の取り組みを進める中で、「節電」の重要性をあらためて意識する場面は多いのではないでしょうか。一方で、節電が環境負荷の低減とどう結びつくのか、発電の仕組みやCO2排出との関係まで含めて整理できていないケースも少なくありません。

電気は発電時にCO2を排出する場合があるため、節電は環境負荷の低減につながりますが、その効果はどの領域でどう進めるかによって変わります。

本記事では、節電が環境に与える影響を発電の仕組みから整理した上で、企業が押さえるべき4つの視点を解説します。

節電による環境への影響とは?発電の仕組み・CO2排出の観点から解説

まずは、節電がなぜ環境への影響と結びつくのか、電気がつくられる仕組みから解説します。

発電の仕組みと火力発電が約7割を占める現状

電気は発電所でつくられ、送電網を通じて企業や家庭に供給されています。日本の発電構成を見ると、化石燃料を利用する火力発電への依存が依然として大きいのが現状です。

資源エネルギー庁の令和5年度(2023年度)におけるエネルギー需給実績(確報)によると、発電電力量に占める化石燃料由来の電源は68.6%を占めています。

出典:「令和5年度(2023年度)におけるエネルギー需給実績(確報)」(資源エネルギー庁)(https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/total_energy/pdf/honbun2023fykaku.pdf)(2026年3月8日に利用)

これは、日本の電力の多くが化石燃料を燃やして作られていることを意味します。

火力発電は、石炭や天然ガス、石油などの化石燃料を燃焼させ、その熱で蒸気を発生させてタービンを回し発電する仕組みです。この燃焼過程でCO2が排出されるため、企業や家庭が電気を使用することは、発電段階でのCO2排出と間接的につながっていると整理できます。

電力使用を減らすと環境にどのような影響があるのか?

電力使用量が減ると必要な発電量が抑えられ、発電所で燃やされる化石燃料の量も少なくなります。

CO2は温室効果ガスの一種で、大気中に蓄積すると地球の熱を宇宙に逃がしにくくする性質があります。節電によってCO2排出量の増加ペースを抑えることは、温暖化の進行を緩やかにする方向に作用します。

さらに、気温上昇の進行が緩やかになると、次のような気候変動リスクの拡大を抑制することにつながるでしょう。

  • 異常気象の頻発
  • 海面上昇
  • 生態系への影響
  • 事業活動やサプライチェーンへの間接的な影響

このように、節電は発電段階での排出を減らすことで、環境負荷そのものを小さくする取り組みといえます。

節電と省エネの違いを整理し、環境負荷削減の方向性を明確にしよう

電力削減には「節電」「省エネ」という異なる考え方があります。どちらもエネルギー消費を抑える取り組みですが、効果の出方や持続性、投資負担は同じではありません。

適切な対策を選ぶためにも、まずは両者の違いを整理しましょう。

節電とは「使用量を減らす取り組み」のこと

節電とは、使う電力量そのものを減らす取り組みです。例えば、空調温度の見直し、不要な照明の消灯、機器の稼働時間の調整などが代表的です。

こうした対策は運用や行動の改善が中心であり、大きな設備投資を伴わずに始めやすい点が特徴です。電力使用量が減れば、その分だけ発電量も減るため、CO2排出量の削減にも即時につながります。

一方、節電には快適性や生産性とのトレードオフが生じる場合があります。また、担当者の意識に依存しやすく、継続が難しいケースも少なくありません。

なお、本記事で扱う節電は、空調を必要以上に止める、照明を一律に消すといった、快適性や業務効率を犠牲にして使用量だけを抑える取り組みではありません。電力使用データをもとに運用を最適化し、環境効果の大きい領域を見極めることを前提としています。

省エネとは「同じ成果をより少ないエネルギーで実現する取り組み」のこと

省エネとは、同じ成果や機能を維持しながら、より少ないエネルギーで実現する取り組みです。 例えば、高効率機器への更新や制御技術の導入など、設備や機器の効率を高めることで実現されます。

これらは一度導入すると、継続的にエネルギー消費を抑え続けられることが特徴です。そのため、省エネは中長期的にCO2排出量を削減し続ける対策として有効です。

一方、設備投資が必要になることが多く、回収期間や導入までの準備期間を考慮する必要があります。

実務では、短期的な節電で使用量を抑えつつ、

中長期では省エネによって排出構造そのものを改善していくと、対策の優先順位を立てやすくなります。

節電による環境への影響を踏まえ、企業に必要な4つの視点

企業が節電を進める際は、効果の大きさや進め方の違いを踏まえて整理することが重要です。

ここでは、環境負荷の低減につなげるために押さえておきたい4つの視点を解説します。

その1:影響度が大きい領域から着手する

節電による削減効果は「電力使用割合 × 削減率」で決まるため、まず電力使用割合が大きい用途から対策を検討することが重要です。

資源エネルギー庁の「夏季の省エネ・節電メニュー」では、夏季の電力使用内訳の例として、次のような数値が示されています。

業種・施設 主な用途別比率
(比率が多いものを抜粋)
オフィスビル 空調:48.6%
照明:23.1%
医療機関 空調:34.7%
照明:32.6%
飲食店 空調:50.5%
照明:17.4%
学校(小・中・高) 空調:37.0%
照明:33.4%
製造業 生産設備:83%
一般設備(空調・照明):17%

出典:「夏季の省エネ・節電メニュー」(資源エネルギー庁)(https://www.meti.go.jp/press/2023/06/20230609003/20230609003-6.pdf)(2026年3月8日に利用)

これらの数値を見ると、多くの施設で空調が電力消費の中心になっていることがわかります。例えば、オフィスビルでは空調が48.6%、飲食店では50.5%と、電力使用量の約半分が空調に使われています。

業種によって内訳は異なるものの、電力消費が特定の用途に集中する点は共通しています。

そのため、節電を進める際は、個別の施策を並列に検討するのではなく、

まず自社で電力使用割合の大きい用途を把握し、影響度の大きい領域から優先的に見直すことが重要です。

その2:総量削減とピーク削減を分けて考える

電力対策は「総量削減」と「ピーク削減」の2つの視点で整理できます。

総量削減とは、年間の電力使用量そのものを減らす取り組みで、年間のCO2排出量の削減に直接つながります。

一方、ピーク削減とは最大需要電力を下げたり、電力使用の時間帯をずらしたりする取り組みです。ピークカットは最大需要そのものを下げる方法、ピークシフトは需要を別の時間帯へ移す方法を指します。

電力対策 主な対象 環境面での意味
総量削減 年間使用電力量(kWh) 年間CO2排出量の削減に直結
ピーク削減 最大需要電力(kW)や使用時間帯 需要集中の緩和や高負荷時の発電運用抑制

電力需要が特定の時間帯に集中すると、発電側では追加電源の稼働が必要になる場合があります。そのため、電力使用量そのものを減らす視点と、電力の使い方を最適化する視点の両方が重要です。

その3:即効性と削減ポテンシャルで整理する

節電施策は、効果が現れるまでの時間軸で整理できます。大きく分けると、短期で効果が出る施策と、中長期で効果が積み上がる施策です。

例えば、空調設定の見直しや照明の運用改善はすぐに実施しやすく、電力使用量の削減にも直結します。一方、高効率設備への更新や制御の高度化は導入までに時間がかかるものの、長期間にわたりエネルギー消費を抑え続けられます。

項目 短期施策 中長期施策
施策例 設定変更、消灯、制御見直し 高効率設備更新、制御高度化
効果が出るスピード 早い 導入後に継続
環境面の意味 今すぐ排出を減らす 排出構造を変える

環境負荷低減を実効性のあるものにするには、両者を組み合わせて進めることが重要です。

その4:投資負担と回収期間で判断する

企業の環境対策は、単なるコストではなく将来の削減効果を生む「投資」として評価する視点が重要です。

取り組みの種類は、次の3つに整理できます。

類型 投資負担 主な特徴
運用改善 低い 設定変更や運用見直しで始めやすい
設備更新 中〜高い 高効率機器導入により削減効果が継続
再生可能エネルギー導入・調達 中〜高い 電力調達構造そのものを変える

投資判断では、削減できる電力量に電力単価を掛け合わせると、年間の経済効果を見積もることができます。その上で、投資を回収できる期間を確認することが重要です。

環境効果(排出削減)と財務効果(コスト削減)の両面から評価することが、持続的な環境対策につながります。

まとめ:節電による環境への影響を理解し、適切な対策を選ぼう

  • 火力発電が約7割を占める日本では、節電がCO2排出を抑え、環境への影響を減らすことにつながる
  • 節電と省エネは役割が異なるため、短期の運用改善と中長期の設備改善を組み合わせることが重要
  • 節電が与える環境への影響を高めるには、空調など電力使用割合の大きい用途から見直すことが有効

節電は単に電力使用量を減らすだけでなく、発電構造を通じてCO2排出の抑制にもつながります。その効果を高めるには、節電と省エネの役割を整理し、短期施策と中長期施策を組み合わせることが重要です。

まずは直近1年分の電力使用量を確認し、用途別(空調・照明・生産設備など)に「どこが最も電力を使っているのか」を整理することから始めましょう。

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株式会社アラヤ

先端AIとニューロテックを基盤とするディープテックベンチャーです。ムーンショット型研究開発への参画をはじめ、企業・大学との共同研究実績を多数有し、現役研究者とエンジニアが一体となった研究支援を提供しています。大学・研究機関における持続可能な研究体制の構築と研究力強化に貢献してまいります。
主な事業概要:
AIアルゴリズム開発(ディープラーニング・エッジAI・自律AI)、建設DXソリューション、研究現場の業務効率化支援(Research DX)など、基礎研究から社会実装まで一貫して手がけています。

株式会社アラヤ: <p>先端AIとニューロテックを基盤とするディープテックベンチャーです。ムーンショット型研究開発への参画をはじめ、企業・大学との共同研究実績を多数有し、現役研究者とエンジニアが一体となった研究支援を提供しています。大学・研究機関における持続可能な研究体制の構築と研究力強化に貢献してまいります。 <br>主な事業概要:<br> AIアルゴリズム開発(ディープラーニング・エッジAI・自律AI)、建設DXソリューション、研究現場の業務効率化支援(Research DX)など、基礎研究から社会実装まで一貫して手がけています。</p>