【企業向け】節電への取り組みは何から始める?分野別の対策4選を解説
2026.4.8 AI空調・省エネ最適化
企業で節電への取り組みを進めようとしたとき、「どこから手を付けるべきか分からない」と悩むケースは少なくありません。
節電というと「照明をこまめに消す」「設定温度を見直す」といった小さな対策が思い浮かびますが、企業の場合は電力を多く使う設備を把握し、優先順位をつけて取り組むことが重要です。
本記事では、企業における電力使用の傾向を整理した上で、節電に取り組むメリットや分野別の節電対策、節電を進める際の考え方を解説します。
【業種別】節電への取り組み前に確認したい、企業の電力使用割合とは?

企業で節電に取り組む際は、まず「どの設備で電力を多く使っているのか」を把握することが重要です。
経済産業省の「夏季の省エネ・節電メニュー」では、業種別の用途別電力構成が公開されています。
例えば、夏季の用途別電力構成の傾向を把握すると、次のような違いがあります。なお、ここで示されているのは年間平均ではなく、夏季における用途別構成の傾向です。夏季は冷房負荷が高まるため、年間の中でも電力消費が大きくなりやすい時期とされています。
| 業種 | 電力使用割合が大きい設備の例 |
|---|---|
| オフィスビル | 空調(48.6%) |
| 卸・小売店 | 空調(26.2%)、照明(21.8%) |
| 食品スーパー | ショーケース(37.8%)、空調(24.3%) |
| 医療機関 | 空調(34.7%)、医療機器(32.6%) |
| ホテル・旅館 | 空調(29.2%) |
| 飲食店 | 空調(50.5%) |
| 学校(小・中・高) | 空調(37.0%)、照明(33.4%) |
| 製造業 | 生産設備(83.0%) |
出典:「夏季の省エネ・節電メニュー」(資源エネルギー庁)(https://www.meti.go.jp/press/2023/06/20230609003/20230609003-6.pdf)(2026年3月8日に利用)
これらを比較すると、多くの建物用途の業種では、空調の電力割合が最も大きい傾向が見られます。一方で製造業では、生産に関わる動力設備の割合が大きい点が特徴です。
企業の電力消費は業種によって構造が異なるため、
節電を検討する際は、まず「どの設備が電力を多く使っているのか」という構造を把握することから始めましょう。
企業が節電へ取り組む主な4つのメリット
企業が節電に取り組むメリットは、電気代の削減だけではありません。コスト、環境対応、設備保全、対外的な評価という複数の観点で効果が見込めます。
《節電に取り組むメリット》
- 電気料金・電力コスト削減
- CO2削減による脱炭素対応
- 設備効率向上・機器寿命延長による保守負担低減
- 取引先要請や企業評価への対応
電力使用量の削減は、従量料金だけでなくピーク抑制による基本料金の見直しにもつながる可能性があります。
また、CO2削減や脱炭素対応を進めやすくなる点もメリットです。設備の過剰運転を抑えられれば、機器負荷や保守負担の軽減も期待できます。
近年は、取引先から環境配慮を求められる場面もあり、節電は企業姿勢を示す取り組みにもなります。
【分野別】企業向け節電への取り組み4選

ここからは、企業で実施される代表的な節電対策を分野別に紹介します。
節電への取り組みその1:空調設備の節電対策
建物用途の施設では、空調は電力消費の大きな割合を占める傾向がある設備の一つです。
そのため、空調の運用を見直すことで得られる効果は大きくなりやすい傾向があります。
ただし、空調は設定温度を変更してもすぐに室内環境が変化するわけではありません。応答に時間差があるため、外気温や在室状況、将来の負荷変動を見越して運転を調整する運用最適化と相性が良い設備です。
代表的な空調の節電施策として、次の項目が挙げられます。
- 温度設定の適正化
- 運転時間の見直し
- 熱源機の運転方法(台数・負荷配分など)の見直し
注意点:従来の空調運用は経験や勘に依存しやすい
現場では経験や勘に依存した運転が行われているケースも多く、部分的な調整だけでは最適な運用にならない場合もあります。
こうした背景から、近年ではデータを活用した空調運転の最適化も検討されるようになっています。
AIを活用して需要を予測し、空調や熱源設備の運転を自動的に調整する仕組みも、その選択肢の一つです。
空調の運用最適化について詳しく知りたい方は、Conscious Airの製品ページもご覧ください。
節電への取り組みその2:照明設備の省エネ対策
照明設備は、比較的取り組みやすい節電分野の一つです。
代表的な施策には以下があります。
- LED照明への更新
- 人感センサー・照度センサーの導入
- 照明のゾーニング制御
- 不要な照明の消灯ルール
一方、すでにLED化が進んでいる企業では、更新による追加削減余地は限られる場合があります。
そのため、照明の節電では機器更新だけでなく、人感・照度センサーの活用やゾーニング制御、不要照明の削減といった運用面の見直しが重要です。
節電への取り組みその3:設備・機器の消費電力削減
空調や照明以外にも、OA機器やIT機器、各種設備機器の見直しは節電につながります。単体での削減額は限定的でも、対象台数が多い企業では全社で積み上げることで効果が出やすい分野です。
代表的な取り組みには以下があります。
- 待機電力の削減
- 高効率機器への更新
- 電源管理ルールの整備
- サーバーやIT機器の最適化
この分野では、特定の設備だけを見直すのではなく、複数の機器を対象に改善を積み重ねることが重要です。
短期で実施できる運用改善と、設備更新が必要な中長期施策を分けて検討することが欠かせません。
節電への取り組みその4:再生可能エネルギーの活用
太陽光発電やPPAなどの再生可能エネルギー導入は、電力使用量を直接削減する施策とは性質が異なります。これらは「電力の使用量を減らす」というよりも、電力の調達方法を変える取り組みです。
主な方法としては以下があります。
- 自家消費型の太陽光発電
- PPA(電力購入契約)による再エネ導入
- 発電電力の自家利用
再生可能エネルギーの導入を検討する際には、屋根や設置スペースの条件、契約形態、初期投資や回収年数などを整理する必要があります。
節電(使用量削減)と再生可能エネルギー(調達転換)は目的が異なるため、両者を混同せずに検討することが重要です。
節電への取り組み効果を最大化する3つの考え方

節電の成果を高めるには、どの対策をどのように進めていくか、という考え方が重要です。
ここでは、企業が節電を進める際に押さえておきたい3つの考え方を解説します。
対策を“足し算”で終わらせない
企業が取り組む節電は、日常ルールの徹底だけでは効果が頭打ちになることがあります。
例えば、
- 照明の消灯ルール
- 温度設定の見直し
といった取り組みは重要ですが、現場の負担が大きく、継続が難しくなるケースも少なくありません。
次のステップとして重要になるのが、電力構造の可視化と高比率設備の運用最適化です。どの設備で電力を多く使っているのかを把握することで、より効果の大きい対策を検討できます。
電力消費の大きい設備から優先して対策する
節電を進める際は、どの設備・対策から着手するかという優先順位をつけることが重要です。
対策の優先順位を判断するポイントは、次の3つです。
- 電力消費の比率
- 改善余地
- 実行難易度
例えば建物用途では、電力比率が大きい設備の一例として空調が挙げられます。
用途別の割合を確認し、インパクトの大きい設備から順に対策を検討することで、効率的に削減を進められます。
現場負担を増やさないために運用を最適化する
節電を現場担当者の運用努力に依存しすぎると、取り組みの継続性や再現性が低下しやすくなります。
現場では、担当者ごとの判断に依存した属人化が進み、ルールの徹底が難しくなることで運用が形骸化してしまうケースも少なくありません。
そのため、近年ではデータ活用や自動制御といった選択肢を検討する企業も増えています。設備の運転データを分析し、最適な運用方法を見つけることで、現場負担を増やさずに節電を継続できるでしょう。
まとめ:自社の電力構造を把握し、最適な節電への取り組みを実現しよう
- 企業の電力消費は業種や設備によって構造が異なる
- 節電は電気料金削減だけでなく、脱炭素対応や設備管理にもメリットがある
- 電力比率の大きい設備から優先して対策することが重要
自社に合った節電を進めるには、まず電力の使われ方を把握することが重要です。その上で、空調や動力設備など消費割合の大きい分野から優先して見直すことで、効果を出しやすくなります。
まずは、直近1年分の電気使用量を整理し、自社の電力内訳を整理することから始めてみてください。
株式会社アラヤ
先端AIとニューロテックを基盤とするディープテックベンチャーです。ムーンショット型研究開発への参画をはじめ、企業・大学との共同研究実績を多数有し、現役研究者とエンジニアが一体となった研究支援を提供しています。大学・研究機関における持続可能な研究体制の構築と研究力強化に貢献してまいります。
主な事業概要:
AIアルゴリズム開発(ディープラーニング・エッジAI・自律AI)、建設DXソリューション、研究現場の業務効率化支援(Research DX)など、基礎研究から社会実装まで一貫して手がけています。
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