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建設現場でAIはどう活用できる?導入メリットや活用事例を解説

建設現場の人手不足や施工管理の負担に対して、「AI活用したいがどうすべきか分からない」「自社の業務にどう落とし込めるのか知りたい」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

建設業界では、熟練技術者の高齢化や長時間労働への対応など、取り組むべき課題が増えています。

そこで、限られた人員で品質や安全性を維持するため、AIを含むデジタル技術の活用が進んでいます。画像の確認やデータ整理、建設機械の操作支援などに活用し、人の判断や作業を支える技術です。

この記事では、建設現場でAI活用が進む背景や導入するメリット、主な活用シーン、具体的な事例を解説します。

建設現場でAI活用が進む背景

まずは、建設現場でAI活用が注目される4つの背景を整理します。

建設現場でAI活用が進む背景その1:高齢化による技術継承の課題

建設業就業者では、高齢化が進んでいます。

国土交通省によると、2022年時点で建設業就業者に占める55歳以上の割合は35.9%です。一方、29歳以下の割合は11.7%となっています。

また、建設技能者のうち60歳以上は25.7%を占めています。資料では、これらの技能者の大半が10年後には引退することが見込まれると示されています。(※1)

国土交通省は、建設業における高齢化の進行と、次世代への技術承継を大きな課題として挙げています。若年入職者の確保と育成が必要な状況です。

建設現場でAI活用が進む背景その2:業界全体の人手不足

建設業の就業者数は、長期的に減少しています。

国土交通省によると、建設業就業者数は1997年の685万人から、2010年には504万人、2022年には479万人となりました。同資料では、建設技能者数も1997年の455万人から、2022年には302万人へ減少しています。(※1)

高齢就業者の引退が見込まれる一方、若年層の割合は低い状況です。建設現場では、将来にわたり必要な施工能力を確保するため、生産性向上や省人化に取り組む必要があります。

建設現場でAI活用が進む背景その3:長時間労働と働き方改革への対応

建設業では、他産業と比べて労働時間が長い状況にあります。

国土交通省の資料によると、建設業の年間総実労働時間は、全産業と比べて90時間長いとされています。また、20年ほど前と比べた労働時間の減少幅も、全産業より小さい状況です。

なお、建設業には2024年4月から、時間外労働の上限規制が適用され、業務量が増えた場合でも時間外労働には上限が設けられています。(※1)

働き方改革を進めるには、限られた時間で業務を進められるよう、業務の進め方を見直す必要があります。

建設現場でAI活用が進む背景その4:i-Constructionの推進

国土交通省は、2016年4月からi-Constructionを推進しています。調査・測量、設計、施工、検査、維持管理・更新までの建設生産プロセスでICTを活用し、建設現場の生産性向上を目指す取り組みです。

i-Construction 2.0では、「施工」「データ連携」「施工管理」のオートメーション化を進めています。

《オートメーション化で取り組む内容》

  • 施工:各種センサーやAIを活用し、施工計画に基づく建設機械の管理
  • データ連携:BIM/CIMやデジタルツインの活用
  • 施工管理:監督・検査のリモート化

2040年度までに、少なくとも3割の省人化、すなわち1.5倍の生産性向上を目指しています。(※2)

出典
「建設業を巡る現状と課題」(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/)(※1)
「i-Construction 2.0~建設現場のオートメーション化」(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/)(※2)

建設現場へAIを導入する4つのメリット

AIは、現場の課題に合わせて活用することで、業務の進め方を見直すきっかけになります。主なメリットを4つ整理します。

メリット1:業務の効率化・生産性向上

AIを活用すると、これまで人が担っていた定型業務や確認作業の効率化が期待できます。

例えば、現場写真や書類の整理、報告書の下書き、データの検索などを支援する用途があります。業務にかかる時間を見直せば、現場担当者は判断や調整が必要な業務に集中しやすくなるでしょう。

一つひとつの作業時間を減らすことは、建設現場全体の生産性向上につながります。

メリット2:建設現場の省人化

AIや自動化技術を活用すると、少ない人数でも現場を運営しやすくなります。

人手不足が続く建設業界では、作業を補助する技術の活用が重要です。特に、危険を伴う場所での作業や、繰り返し発生する業務では、AIや自動化技術が役立つ場合があります。

AIは、人を一律に置き換えるためのものではありません。人材不足を補い、一人ひとりの業務負担を軽くするための技術として活用できます。

メリット3:技術・ノウハウ継承の促進

AIやデジタル技術は、現場で蓄積したデータを整理し、技術やノウハウを共有する際に活用できます。

ベテラン技術者の作業手順や判断を共有するには、作業記録に加え、判断根拠をメモや属性情報として記録し、関連するデータに紐づける必要があります。

なお、形状や配置のデータだけでは、判断した理由までは分かりません。判断の根拠も記録することで、若手技術者の教育や引き継ぎに活用しやすくなります。

メリット4:作業の安全性向上

AIは、建設現場の安全管理を支援する技術としても活用されています。

例えば、カメラ映像やセンサーの情報を用いて、現場の状況を確認する用途です。危険を伴う作業を遠隔化・半自動化することで、安全な作業環境づくりに役立つ可能性があります。

AIの判断だけで安全管理を完結させるのではなく、現場担当者による確認と組み合わせることが重要です。AIを活用して安全管理を高度化することで、労働災害の防止や作業品質の維持につながります。

建設現場におけるAIの主な活用シーン

建設現場におけるAI活用は、施工段階だけに限られません。設計・計画、施工・現場管理、業務管理など、さまざまな場面で活用を検討できます。

建設現場へのAI活用シーン1:設計・計画

設計・計画段階では、AIを用いて設計案の比較や施工シミュレーションを支援できます。

BIMとAIを組み合わせることで、設計変更が工期やコスト、建物性能などに及ぼす影響を検討しやすくなるでしょう。複数の条件を比較する場面で、判断材料を整理する用途が考えられます。

建設現場へのAI活用シーン2:施工・現場管理

施工段階では、AIを使った画像解析や現場データの分析により、施工管理や安全管理を支援できます。

現場カメラの映像を活用すれば、作業の状況や重機の動きなどを把握可能です。危険な行動の確認や、施工状況の記録に役立てられる場合があります。

また、鉄筋や外壁などの画像をAIで解析し、検査や品質確認を支援する活用も進んでいます。AIは、現場担当者の確認を補い、安全性や品質を保ちながら管理業務の負担を軽減する技術として有効です。

建設現場へのAI活用シーン3:業務管理・データ活用

バックオフィスや管理業務では、生成AIやデータ分析技術を活用して、日常業務を効率化できます。

例えば、メールや報告書の下書き、文章の要約、翻訳、音声データの文字起こしなどに活用できます。人が最終確認をおこなう前提で使うことで、作成や整理にかかる時間を減らしやすいでしょう。

また、社内資料や過去の施工情報を検索し、必要な知識を探す用途もあります。情報を整理して探しやすくすることで、属人化の抑制や意思決定の迅速化につながります。

なお、生成AIへ入力する情報には注意が必要です。顧客情報や工事情報を扱う場合は、社内ルールや利用するサービスの設定を確認してから活用しましょう。

建設現場におけるAI活用事例

建設業界では、設計、施工、安全管理、技術継承など、さまざまな領域でAI活用が進められています。ここでは、アラヤの取り組みを2つ紹介します。

油圧ショベルAI自動化

アラヤは、西松建設、ジオマシンエンジニアリングと共同で、AIを活用した山岳トンネル施工における一次ずり搬出作業で使用する「油圧ショベル(バックホウ)の自動化施工技術」を開発しました。

山岳トンネルの切羽(掘削最前部)では、岩盤の崩落事故への対策や、若手入職者の減少による労働力不足が課題です。そのため、切羽近傍で働く現場技術者や作業員の立ち入りを不要とする、建設機械の遠隔化・自動化が求められています。

本事例では、AIを活用し、油圧ショベルの次の作業を自動化しています。

  • 駐機場所から切羽までの走行
  • 切羽でのずりの集積

走行時にはセンサやSLAMを活用して壁面や障害物を検知し、集積時にはずりの形状に応じて油圧ショベルを自動制御します。さらに、ホイールローダの接近を検知して旋回範囲を制限するなど、安全性にも配慮した自動施工を実現しました。

自動化されたホイールローダと連携することで、オペレータの操作を最小限に抑えた施工が可能になります。

コンクリート打設計画システム

コンクリートの打設計画の検討は、施工条件や考慮すべき指標が多岐にわたるため、時間を要する業務です。また、施工品質に関わる重要な業務であり、経験を積んだ技術者でなければ対応が難しいという課題があります。

アラヤは大林組と共同で、コンクリート打設計画システムの研究開発を開始しました。アラヤのAI・アルゴリズム技術と、大林組が持つコンクリート打設の現場知見を活用して開発を進めています。

システムの実現により、条件や指標が多い打設計画の検討にかかる手間を減らし、計画作成を効率化できると期待されています。その結果、限られた人員・時間でも計画業務を進めやすくなり、生産性や施工品質の向上につながる見込みです。

建設現場におけるAI活用の動向

建設分野では、将来的な担い手不足への対応として、AIやロボット等を活用したフィジカルAIによる省人化・効率化が期待されています。

国土交通省は、建設分野の省人化や生産性向上、職場環境改善等の実現に向け、環境状況把握技術、フィールドロボティクス、作業者や管理者への支援技術等の活用を検討しています。あわせて、仕事のプロセス変革も視野に入れています。

主な活用例は、次の通りです。

  • AI・ICTを用いた道路巡視の効率化
  • 画像認識AIによる直轄管理橋のデータベース活用
  • 危険な場所での四足歩行ロボットによる状況把握
  • 遠隔操作・自動掘削機能を備えた建設機械の実証
  • AIを活用して発破パターンを自動で設計するシステム
  • AI画像認識技術を活用したクレーンの安全機能
  • 保護具の着用状況を確認するAIカメラ

国土交通省は、2026年に「建設分野のフィジカルAI活用推進WG」を設置しました。技術シーズと現場ニーズを掛け合わせ、対象事業と方向性の整理に向けた検討をおこなっています。

出典:「建設分野におけるフィジカルAIの導入」(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/tec/constplan/sosei_constplan_tk_000036_00001.html)

まとめ:AIを活用して建設現場の生産性向上を実現しよう

  • 建設現場では、人手不足や技術継承、長時間労働への対応としてAI活用が進んでいる
  • AIは、設計・計画、施工・現場管理、書類作成や情報検索などで活用できる
  • 建設機械の自動化や打設計画の検討支援など、現場課題に合わせた取り組みも進められている

AIを効果的に活用するには、導入そのものを目的にするのではなく、現場の状況に応じて活用方法を検討することが重要です。

まずは、自社の建設現場で時間がかかっている業務や、人に依存している業務を洗い出してください。課題を整理したうえで、AIを取り入れやすい業務から改善を検討しましょう。

建設現場へのAI導入をご検討の方は、課題の整理からご相談ください。アラヤは、現場の業務や目的に合わせたAI・アルゴリズムの活用を支援します。

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株式会社アラヤ

先端AIとニューロテックを基盤とするディープテックベンチャーです。ムーンショット型研究開発への参画をはじめ、企業・大学との共同研究実績を多数有し、現役研究者とエンジニアが一体となった研究支援を提供しています。大学・研究機関における持続可能な研究体制の構築と研究力強化に貢献してまいります。
主な事業概要:
AIアルゴリズム開発(ディープラーニング・エッジAI・自律AI)、建設DXソリューション、研究現場の業務効率化支援(Research DX)など、基礎研究から社会実装まで一貫して手がけています。

Categories: 建設・施工DX
株式会社アラヤ: <p>先端AIとニューロテックを基盤とするディープテックベンチャーです。ムーンショット型研究開発への参画をはじめ、企業・大学との共同研究実績を多数有し、現役研究者とエンジニアが一体となった研究支援を提供しています。大学・研究機関における持続可能な研究体制の構築と研究力強化に貢献してまいります。 <br>主な事業概要:<br> AIアルゴリズム開発(ディープラーニング・エッジAI・自律AI)、建設DXソリューション、研究現場の業務効率化支援(Research DX)など、基礎研究から社会実装まで一貫して手がけています。</p>